- 2012年03月26日
荷車幕製作 - 2012年03月13日
唐櫃巡行 - 2012年03月07日
税額控除についてのお知らせとお詫び - 2012年02月21日
大船鉾考証 艫(とも)について - 2012年02月13日
大船鉾細見 後掛
車軸について
大船鉾本体の重量を支える車軸は現在菊水鉾さまよりお借りしたものをはめています。こちらの計画値ですが、横幅3500ミリ、240×240ミリの角材の両端を丸めた形状で、材は通常アカガシを用います。両端の丸部分は長さ840ミリ、径は根本がおよそ200ミリ、先端150ミリのテーパー状です。これは各地の山車から現在の乗用車に至るまで採用されている形状で、車輪をはめたとき「ハ」の字に「ころばせ」て重量を効率よく受け、動かした時の動揺になじみ、「まっすぐ進む」構造です。
用いる材の良し悪しを考察してみます。まず古くから用いられているのはやはりアカガシになります。これは強大な強度と堅さ、それに大径木になるといった条件が揃うからですが、昨今の進化した科学からみると、シラガシのほうが優秀だと思います。曲げ強度で双方1260(kg/cm2)と拮抗しますが、圧縮強度でアカガシ640・シロガシ720、引張強度でアカガシ1610、シラガシ2250と圧勝です。あとは固体によって「ねばり」が違ってきますが、うまく方面を図って製材すれば克服できると考えます。
鉾の部材として多用・消耗するアカガシやシラガシですが、一般的に需要が少ないため植え育てられることがめったにありません。そのため備蓄量が少なく、特に大径木は資源枯渇しています。何とか機会をみつけてこれらのカシの苗木を植えるようにしたいと思います。松井秀樹も自ら消耗するバットの材料が枯渇しないようアオダモの木を植えてるそうですからね。
この車軸に車輪をはめたとき、くさびを差して車輪が抜けないようにします。このくさびを「車轄」といい、鉄製(鋳造鉄)のものが用いられます。古文書等によると、かつてこの「車轄」は多くの町で「鉄製」と「木製」の2パターン所有しており、車掛け、曳き初め、巡行など鉾を動かす際に鉄製、宵山など留め置くときには木製が用いられました。現在では北観音山にのみ残る風習となっているようです。ヨドバシカメラの大船鉾展示では(かつての風習を守って?)木製の車轄をはめています。四条町ではこういった風習も伝承に努めてゆきたく考えております。