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復興事業近況
復興完成への新調事業①欄縁製作
現在四条町大船鉾では「黒主山保存会」様より御寄進いただきまして、欄縁を製作しています。黒主山様から御寄進との事で「黒」にかかり永年残る財物を作ろうと図り欄縁新調とさせていただきました。心より御礼申し上げます。木材削り出し成型に1ヶ月、漆(蝋色塗)仕上げに10ヶ月かかります。来年のお祭りの頃にはヨドバシ展示場でご披露できると思っております。
欄縁とは船べりを取り巻き船ぶちを象る黒漆塗りの部材のことです。船以外の鉾では最近囃子方が腰掛けている部分になります(明治以降の写真に写る記録では現在のように腰掛けていますが江戸期の絵画は全て鉾の中にいすを置き外に向いて鉦・笛を囃しています)が、船鉾はさらに跳高欄がつきますのでここに腰掛ける印象はないと思います。さらにもうひとつ他の鉾と大きな違いがあります。他の鉾が「コ」の字型の部材を舞台基礎枠にはめ込んでいるのに対し、船鉾は外側から板状の部材を押しあてる形状だということです。理由は2つあり、1つは曲線の為「コ」の字型の長大な部材成型が難しいこと、2つ目は「コ」の字型にすると巡行時舞台基礎枠の継ぎ目部分が開こう開こうとします為破損するお可能性が高いことです。要するに軟構造に即した仕様ということでしょう。
さて部材材料ですがヒノキを使います。荷重のかかる構造材とは違い漆塗り仕上げを経て衣裳となる為、軽軟で素直なやさしいヒノキを使います。施工は本体木組を製作いただいた南区の竹田工務店に依頼し、現在鋭意製作中です。
そして漆塗りですが、こちらは「石川漆工房」に依頼いたしました。この石川漆工房も黒主山様とご縁のあるところで、先々年に宵山用欄縁の塗りなおしを担当されました。木部材料の仕上がりが10月末、その後漆塗り工程に入ります。塗りは祇園祭山鉾で多用される「蝋色塗」という技法で、漆黒の鏡のような仕上がりになります。鑑賞点としてはこの蝋色に顔を映して、その輪郭によどみがなくシャープなほど上品というものになります。応援してくださる皆様も是非来夏を楽しみにお待ちください。