- 2013年04月23日
岸 竹堂 画 船鉾図 - 2013年04月08日
シンポジウムご報告
2013年4月アーカイブ
岸 竹堂 画 船鉾図
先日、祇園祭の写真をよく撮られている写真家の方から、滋賀県立近代美術館に最近個人から美術館に寄託された「船鉾図」がある、という情報をいただきました。近代美術館のご厚意により見学をさせていただけることになり、保存会役員一同で寄せていただきました。その絵は岸派の岸竹堂によるもので、紛れもなく後祭の船鉾(大船鉾)を描いたものです。落款に丁巳夏とあることから安政四年に描かれたようです。宵山風景を描いたものですから旧暦の6月12~13日ごろの風景でしょうか。屋形の形などは少しデフォルメされていますが 、
懸装品の飛龍の水引や舳先の龍頭は丁寧に描かれています。作者の岸 竹堂はこの龍に魅せられたのかもしれません。また面白いことに、駒形提灯を、いま正に釣り上げようとしている鉾上の人が描かれているところです。これはちょっとした作者の遊び心でしょうか?
シンポジウムご報告
去る3月16日、シンポジウム「大船鉾の復興~祇園祭山鉾巡行の今日と明日~」が行われ盛況の中無事終了いたしました事をご報告いたします。
先ずは、事前申込み制(定員400名)で定員を大きく超えたお申込みがありましたため抽選となり、惜しくも抽選漏れ為された皆様に深くお詫び申し上げます。
当日は私共保存会理事長の松居米三のご挨拶から始まりました。
明治維新に唐櫃巡行を行い巡行復帰の意思表明をしながら、復興資金を番組小学校の運営に注ぎ込んだ四条町先達の熱い思いと、結果的にそれが町家を失い、この時代まで復興出来ずにいたが、居祭りというかたちで巡行には参加しなくとも140年以上、神事祭事を受け継いできた事が、今回の復興事業へと繋がったという経緯が語られました。
元治元年(1864年)蛤御門の変の大火罹災から150年の節目の年である来年平成26年(2014年)の巡行には鉾での巡行を行う旨、皆様にお伝えいたしました。
次に京町家再生研究会幹事・建築設計士で祇園祭山鉾連合会専門委員の末川協さんが大船鉾復原検討委員会委員・大船鉾設計者の立場から設計施工に至るまでの経緯を講義されました。
末川さんは、設計について、祇園祭船鉾保存会様の全面的なご協力で得た船鉾の構造データを基本に増補祇園会細記(文化十一年)等の古文書、三島図などの絵画資料、実在する大船鉾懸想品より大船鉾の形・大きさを割り出した事等を講義されました。
また、大船鉾復原検討委員会で「復興すべき鉾」が確定した事により、「大船鉾復興事業」では待ちに待った第2期工事がスタートした事が伝えられました。
その後は、パネルディスカッションが行われました。
コーディネーターの坂本孝志さんは、平成18年の飾り席復活の年から祭事をお手伝いいただいておりますNPO法人「都草」の理事長さんです。
出演者は松栄堂の畑正高さん、市田ひろみさん、大角安史さん、吉田孝次郎さんでした。
有名な話ですが、畑さんはお稚児さんもなさった経験を持ち、その後、長刀鉾の囃子方をずっと続けてこられています。畑さんは名刺代わりに鉦を叩かれました。一瞬にして会場が祭ムードに変わりました。
市田さんは新釜座の四条上ったところで育たれたのは有名で、囃子が聞こえてきて、テスト勉強出来なかったというのが有名な話です。実は私共の松居理事長と堀川高校で同級生だそうです。シンポジウムではその件については一言もなかったですが、「船鉾の囃子方の足立さんに憧れていた」という話は本当に市田さんは鉾町ではないけど祇園祭の京都の真ん真ん中の女性なんやなと思わせるエピソードでした。
大角さんは大船鉾に大口の支援をいただきました京都青年会議所の元理事長さんで、理事長をなさっていた年は大船鉾保存会の理事としても活躍いただきました。外野から見た祇園祭の話をなさっていましたが、貴重な意見でした。
吉田理事長の話はいつも感動です。
祇園祭を集約しています。そして、わかりやすい。
凛とした親父の裃姿が格好よかった。誇りに思った。
囃子方となった鉾の上から見た景色の話。
乗ったもんにしか解らないこの上ないあの感覚。上手く表現されます。
大船鉾の囃子方にも早く自分の鉾に乗せてやりたい。そう思いました。
あっという間の夢のような2時間でした。
「もっと早くこの様な会を開いていただきたかった。」という声を沢山頂きました。
大船鉾の復興事業の趣意・進捗を伝える会は早い時期から企画してはいたのですが、勝手な事を保存会の独断で言ったり行ったりは出来ないというのがネックになっていました。
昨秋、菊水鉾保存会様より足回りの退役部材を譲渡いただき、復原検討委員会で復原すべき大船鉾の基本設計も確定しました。また先日お伝えいたしました京都ライオンズクラブ様の屋形・艫屋形・跳ね出し高欄のご寄贈で、2014年の鉾本体の完成が確実となりました今のタイミングで行えました今回のシンポジウムは必然の会であったように思えます。
ご参加いただきました皆様ありがとうございました。
復興事業はまだまだ始まったばかりです。どうか引き続きご支援賜りますようによろしくお願い申し上げます。